あなたは患者さんにこう言っていませんか?
「骨盤が歪んでいますね」「骨盤が左に傾いています」
整体業界では当たり前のように使われるこの表現ですが、実はこの一言が施術の限界を作り出している可能性があります。
「骨盤の歪み」という概念の問題点
骨盤は左右の寛骨と仙骨が組み合わさった構造です。
寛骨と仙骨は靭帯によって強固に固定されており、骨そのものが「歪む」ことは基本的にありません。レントゲン上で見られる骨盤の非対称は、多くの場合、骨そのものの位置変化ではなく、筋肉・筋膜・関節の動きのパターンの問題です。
「骨盤が歪んでいる」という表現は、患者さんには分かりやすい言葉ですが、施術家としての思考を止めてしまう危険があります。
「どこが歪んでいるか」より「なぜそうなっているか」
骨盤の非対称が見られるとき、施術家が考えるべきことがあります。
- 仙腸関節の動きに左右差はあるか?
- 股関節の可動域に差があるか?
- 腰椎の動きはどうか?
- 胸椎・肋骨の影響はあるか?
「歪み」という結果を見るのではなく、なぜその状態になっているのかという原因を探るのが、体全体を診る施術家の視点です。
「骨盤矯正」という施術の落とし穴
「骨盤を正す」という目的で行う施術は、往々にして骨盤だけを見ています。
しかし骨盤の状態は、足底・膝・股関節・腰椎・胸椎・頭蓋という連鎖の中で決まります。骨盤単体を動かしても、連鎖の根本が変わらなければ、体は元の状態に戻ろうとします。
施術直後は変化しても、すぐ元に戻る——その理由のひとつがここにあります。
施術家としての言葉を変えると思考が変わる
「骨盤が歪んでいる」という言葉をやめると、代わりにこういう問いが生まれます。
「この方の仙腸関節の動きの制限はどこから来ているのか?」「股関節の左右差は何が影響しているのか?」
言葉を変えることは、思考を変えることです。検査・評価をベースに原因を探る施術家になるための第一歩は、「決めつけの言葉」を手放すことかもしれません。
まとめ
- 「骨盤の歪み」という表現は概念として不正確なことが多い
- 骨盤の非対称は筋肉・筋膜・関節の動きのパターンから生じる
- 骨盤だけを見ていると施術の精度は上がらない
- 「なぜそうなっているのか」を体全体から読み解くことが重要
FINESSE Lab|施術家のための診断思考スクール

コメント